一眼レフの動画の画質
Last update 2011/04/25 01:25
以前、デジタル一眼レフカメラとハイビジョンビデオカメラの動画の比較を行いました。
デジタル一眼レフカメラで撮影した場合の最大の特徴は、大きい撮像素子とレンズの絞りによる、"ぼかし"です。
また、ビデオカメラで撮影した場合に比べ、色の表現が幅広く、より立体的な映像を記録することができます。
が、まだまだ発展途上の段階で、ビデオカメラに取って代わるにはまだ数年はかかる気がします。
今回は、デジタル一眼レフカメラで撮影した場合の弱点と、長所をみてみたいと思います。
桜の花
先日、桜の花が満開になり、さっそくデジタル一眼レフカメラとハイビジョンビデオカメラを持って行って撮影してみました。
すると、一眼レフとビデオカメラでは、ずいぶん違う特徴が出たので、紹介したいと思います。
ハイビジョンビデオカメラで撮影した場合
三脚を使わなかったので、ちょっと素人っぽいですがw、NHKの深夜にクラシックと友に流れている映像のようにきれいですよね。
YouTubeにアップロードすると、画質が劣化してしまうんですけれど、それでもちらつきもノイズもなく、きれいです。
デジタル一眼レフカメラで撮影した場合
デジタル一眼レフカメラで撮影したら、どんだけきれいに撮影できるのかなぁ~。と思って、家に帰って再生してみたら・・・
ええええ~~~。
なんか画質が悪い~~~。
これは、一眼レフ自体が原因というより、1つは、映像圧縮方式の違いだと思われます。
デジタル一眼レフカメラは、ペンタックスのK-xという機種なんですけれど、このカメラは動画撮影のときに、映像圧縮にMotion JPEGというエンコーダー(ビデオコーディック)を使用しています。
それに対して、ハイビジョンビデオカメラで使用されているビデオコーディックは、最新技術のH.264が使用されています。
このH.264は、ブルーレイでも採用されていて、画質がきれいなままファイルサイズを小さくすることができるんですけれど、非常に高性能なCPUや電力を使用します。
そのため、H.264を採用している一眼レフカメラも最近では出てきましたが、K-xのような安価なカメラでは、まだまだ採用されていないのが現実です。
で、Motion JPEGにしろ、H.264にしろ、映像を圧縮するので画質が劣化するんですけれど、このような桜の花びらのような細かい被写体が動き回るようなシーンは、圧縮するとノイズが発生しやすいんですね。
その差が特に今回の桜の花びらの撮影で、顕著に出てしまったんじゃないかと思われます。
↑上の画像をクリックして拡大表示するとわかるんですけれど、一眼レフカメラで撮影した方は、ピンクの花びらの中に青や、紫、緑といったあり得ない色のノイズが混じっていますよね。
それに対して、ビデオカメラの方はそういったノイズも少なく、桜のは内外の部分もくっきりと表現できていますよね。
静止画との比較
一眼レフカメラは、動画に関してはビデオカメラに画質の面で譲るものの、写真に関しては本領を発揮します。
上の画像は、左側がペンタックスK-xで撮影した動画をキャプチャーしたもの。
右が、同じくペンタックスK-xで撮影した写真です。
クリックして拡大表示してみるとわかるんですけれど、網のネットの部分や、奥の手すりの部分にその差が顕著に出ていますよね。
写真の方は、細かいディテールまでくっきり鮮やかです。
花びらや青葉に関しても、だいぶ差がついていますよね。
餅は餅屋じゃありませんが、やっぱり動画撮影はビデオカメラが。
写真撮影には、デジタルカメラの方が1段も2段も表現力が違いますね。
もう一つ、差がついた原因として、ハイビジョンビデオカメラはフルハイビジョン(1920×1980)ですが、一眼レフで採用されているのは、同じハイビジョンでも1280×720のものが多いんですね。(高価な一眼レフはフルハイビジョンを採用している製品もありますが)
そのため、1秒あたりのデータ量が違うため、どうしてもフルハイビジョンの方が画質がよくなります。
ちらつき?
それと画質自体には関係ないんですけれど、一眼レフカメラは1秒間あたりに24コマを採用している製品がほとんどなんですけれど、ハイビジョンビデオカメラは30~60コマ。
だから、一眼レフカメラの映像の方はちょっとちらついていますよね。
一眼レフできれいに動画を撮影するには
じゃあ、せっかく一眼レフを購入してもきれいにとれないのか。なんて思うかもしれませんが、デジタル一眼レフカメラでもきれいに撮影できるコツを紹介します。
上の動画は、ハイビジョンビデオカメラで撮影した映像です。
やっぱきれいですよね。
最近のハイビジョンビデオカメラは、ぼかしもきれいになってきました。
続いて、下の映像はデジタル一眼レフカメラ、ペンタックスK-xです。
桜を撮影した時はノイズが多かったんですけれど、柿の葉を撮影した映像では、ハイビジョンビデオカメラで撮影した映像と同じく、ノイズがほとんどありませんね!
しかも、ぼかしに関してはデジタル一眼レフカメラの方がずっときれいで立体感がありますね。
桜の花びらのように細かいつぶつぶが激しく移動するようなシーンでは、ビデオコーディックで圧縮する時にノイズが発生してしまうんですけれど、この柿の葉の映像のように色数が少なく被写体がそれほど動いていないシーンの場合は、それほどノイズが発生しないんですね。
そのため、Motion JPEGで圧縮するデジタル一眼レフカメラでもきれいに撮影できたということになります。
ただ、動画の字幕でも表示されていましたけれど、安価なデジタル一眼レフカメラは、動画撮影時、ピント合わせも手動で合わせなきゃいけないし、ズームも手動。
しかも、液晶だとピントが合っているのかあっていないのかがよくわからない!!
デジタル一眼レフカメラは、その特性上(位相差AFなど)、動画撮影時(ミラーアップ時)はピント合わせができません。
最近は、パナソニックのGH1やGH2や、最近注目されているミラーレスの代表、SONY NEX-5なんかは、動画撮影中もオートフォーカスが有効な製品も登場してきましたね。
まだまだ一眼レフカメラの動画撮影は、おまけ的な範囲から抜け出せませんが、ミラーレス機のような、ビデオカメラとデジタルカメラのいいとこ取りの製品が普及しだして、そのうちどちらもそれほど区別が無くなるかもしれませんね。
比較
↑デジタル一眼レフカメラ ペンタックスK-xで撮影した写真
↑デジタル一眼レフ ペンタックス K-xで撮影した動画の1コマ
同じカメラ・レンズを使用していても、「写真」か「動画」で画質にかなり差が出る。
↑ハイビジョンビデオカメラ SONY HDR-XR500で撮影した動画の1コマ
クリックして拡大するとわかりますが、ハイビジョンビデオカメラで撮影した映像は、静止してもきれい。
↑デジタル一眼レフカメラ ペンタックスK-xで撮影した動画の1コマ。
↑ハイビジョンビデオカメラ SONY HDR-XR500で撮影した動画の1コマ。
やはり、ハイビジョンビデオカメラで撮影した方がシャープでくっきりしています。
ただ、色の表現はデジタル一眼レフカメラ方が豊かかも。
ホワイトバランスが適正なのかもしれません。
デジタル一眼レフカメラと、ビデオカメラ、どちらを買う?
結局のところ、今現在のデジタル一眼レフカメラの動画は、あくまでおまけ的な位置づけだと思いますし、そういった意見が大多数です。
ただし、写真撮影に関してはデジタル一眼レフカメラの方が圧倒的にきれいなのと、豊富なレンズを利用できる点でも軍配が上がります。
結局のところ、動画撮影がメインなのか写真撮影がメインなのか。で、どちらを購入するか。が決まってくるんだと思います。
でも、どっちもきれいに撮りたい!なんて欲張りな人には、以下の動画撮影時でもオートフォーカスがきくデジタル一眼レフカメラがいいかもしれません。
動画撮影+オートフォーカス付デジタル一眼レフカメラ
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